もっと製作者の色を見せてくれ!もったいなさすぎる作りのゼルダライク!Reverie: Sweet As Edition
ニンテンドースイッチのダウンロードソフト、
Reverie: Sweet As Editionをクリアまでプレイしたので紹介!
値段は1480円だけど、3月20日まで1184円。
VITAとプレイステーション4版もあるが、
そちらはプレイしていないので違いは不明。
主人公のタイは夏休み、おじいちゃんと おばあちゃんの家があるトロミ島へと向かう。
その島には昔、兄弟ケンカの末に全員亡くなり、
怒りに駆られたままどこかに捕らわれている話があるという。
おじいちゃんの家へ着くと地震が発生。
心配になって地下室を見に行ってくれと頼まれたところから冒険が始まる。
子供が主人公、現代が舞台なので剣などと物騒なものはない。
かわりにバットを振り回して襲い掛かってくる動物たちと戦うのだ。
ゼルダの伝説にマザーっぽいグラフィックを乗せたようなゲームで、
島の各所にあるダンジョンへ行き、謎解きしながら進み、一番奥にいるボスを倒す。
最終的に全てのダンジョンをクリアを目指すのだ。
画面右上を見ての通り、バットは基本装備として外せないが
自由枠としてアイテムを2つセットできる。
ダーツの矢を発射する玩具銃、ヨーヨー、玩具のスコップと
子供らしいアイテムが登場。
しかし、最初のダンジョンである おじいちゃんの家の地下室が一番おかしい。
なんで こんなおもっくそダンジョンな作りの地下室なんだよ!
よっぽど おじいちゃんがゼルダ好きなのか?!
モンスターやボスキャラの魔力で変質したとかの話はなかったので、
たぶん素で この形状。というか、地下室の最奥になんであんなのが!?
部屋の作りを見ての通り、思った以上にゼルダだと感じた人もいるだろうが
実際にプレイすると ブロックを動かしたり、敵を全滅させたり、
飛び道具でスイッチを起動したりと、まさにゼルダとしか言いようがない。
ダンジョンの部屋の構成も、ダンジョンマップや鍵、ボス部屋の鍵もある。
ダンジョンには1~3つワープゾーンが存在し、
ショートカットとして使えるのは便利。
やられてもダンジョン入り口へ戻されるだけで即座に復帰。
フィールドでやられた場合は点在しているチェックポイントから復帰。
そんなわけでダンジョンを攻略してボスを倒すことが目的だが、
最初のボスが乾燥機なのは初体験だな・・・。
他にボスキャラとなった乾燥機と戦うゲームってある?
こんなのが地下にある おじいちゃんの家はどうなってんだよ・・・!
ちなみに、次はどこへ行けばいいかは島のマップにマークがつくので
少し間を置いて忘れてしまっても大丈夫。このあたりは かなり親切。
ただし、先に別のダンジョンへ行こうとしても、必要なアイテムだったり
「ここを通れるようになるまで時間が掛かる」イベントなどで
行けないようになっているので、攻略順番に関する自由度は無い。
謎解きは手ごわいものが多いけれど、
複数の部屋に跨っての謎解きはなかったり
周囲や手持ちのアイテムを見れば解けたりと
難しくはあっても なかなかバランスが良いと思う。
コレクション要素として、島の各所に鳥の羽が存在。
集めると衣装が解禁される。特定の衣装じゃないと進めない
って仕掛けや場所は無く、やりこみ要素にしか過ぎないので
無理して集めなくてもゲーム進行に全く問題ない。
操作性は良いし、戦闘面でのバランスは緩め、
謎解きのバランスも良いのだが、欠点を言うならストーリー。
最初にストーリーについて触れたが、ゲームが進行しても
島の住民による会話がストーリーに関する部分に全く触れない。
これは住民が気付いていない子供の冒険ということかもしれないが、
会話に絡んでこないせいで主人公含めてキャラクターに全く魅力が見いだせない。
ダンジョンをクリアしたら精霊たちとの会話があるので
ゲームが進んでいる感が全くしないわけではないが、
言いかえればダンジョンクリア時以外にゲームが進んでいる感じがしない。
複数の部屋に跨っての謎解きは無いので解きやすくはある反面、
全ての謎解きが1つの部屋だけで完結しているため、
神々のトライフォース以降に存在する複数の階層に跨っての移動や
ダンジョン構造そのものに影響する仕掛けが無いことでもあるので
大人しめな謎解きか、淡々と敵を倒して鍵を拾うかの2種類しかない。
個人的に不満の塊なのは、この石のアイテム。
神々のトライフォースに出てくる、使うことでブロックを生成できる
ソマリアの杖を知っているだろうか? それに近いアイテムで、
この石を置くと乗り降りでON・OFFが切り替わるスイッチを
ONに入れっぱなしにするように使うのだが、難点がある。
まず、石を置いてあとに攻撃すると吹っ飛ばし、
壁や三角板に当たると跳ね返る特性だ。
この特性を前提とした謎解きがあるのに、
跳ね返りに関してはゲーム中でノーヒントなので自力で気付くしかない。
自分は石を置いて すぐにザコ敵が来たので偶然攻撃に巻き込む形で発見した。
それまでは「どうやってあのスイッチを押せるんだ・・・?」
「何か まだ取っていないアイテムがあるのか?」と疑い迷い続けていたよ。
「そういうのは手に入れた時の説明文に出るだろ?」
と思う人は、これを見てほしい。アイテム入手した瞬間の画像だが、
これで跳ね返る特性に気付ける人は何人いるのだろうか。
レーザーガイドビーム避けに この設置式な石を使うこともあるのだが、
何故か2本出ている局面もあるので かなりギリギリまで近づかないと
ビームを防げるように置くことができない。
ビームに触ると当然ダメージを受ける。
こういったギリギリのところに石を置く場面もあるのに、
石は触ったら回収してしまうので非常に気を使って移動する必要がある。
・・・回収? そう、回収しないと再使用できません・・・!
部屋から出れば自動回収するとはいえ、
1つの部屋で謎解きを試行錯誤する際には
いちいち回収しなければいけないから面倒くさすぎる・・・。
1つの部屋で複数のビーム避けに使うこともあるので、本当に面倒くさい。
ストーリーは進展が感じられないと先ほど言ったが、
エンディングになったとたん「我が一族の運命を成し遂げてくれた」
などとワケのわからないことを言われはするが、
主人公に因縁めいた相手など無いのでラスボスは存在しない。
実質ダンジョンがラスボスのような扱い。
これは子供の冒険譚的な内容だからかもしれないが、
話も演出すら何も無いので盛り上がりようがない。
ニンテンドーeショップの説明文を見れば わかることだが、
最初に入る地下室含めてダンジョンが6つしかないのでボリュームも少ない。
自分は石関係で迷いに迷っても3時間54分ぐらいだった。
一見、十分なプレイ時間に思えるが、
ゼルダの伝説 神々のトライフォースで言えば
最初の3つの紋章を取ったあたりで司祭アグニムと戦うことなく
勝手に世界平和になってゲームクリアと考えれば残尿感が伝わると思う。
操作性はいいし、グラフィックもいい。
マップの目的地にマークを付けてくれる優しさもあるので
アイテムの石を除けばシステム面は手堅く良くできている。
しかしそこまで。無難すぎる作りで本作ならではの要素が無く、
ストーリー、キャラ、演出、BGM、どれも印象に残るほどではない。
本当に『マザーっぽいグラフィックで作ったゼルダ』で終わる。
システムに謎解きのバランスと根っこの出来はいいんだから、
もっと磨けば素晴らしいゲームになれる可能性があったのに・・・本当にもったいない。