メタルギアソリッドモバイルについて
タクティカルエスピオナージ(戦略諜報)アクションゲームこと、
メタルギアシリーズを知っている人は多いと思う。
元々はMSXのゲームなのだが、
ハード性能の低さもあって銃撃戦を行うことは困難だった。
そこで、「戦わないで見つからないように潜入する」
という真逆の発想により生まれた画期的なゲームだ。
基本的にプレイステーション系のハードで発売され、
原点となったMSXにも2本、ファミコンとゲームボーイカラー、
ゲームキューブと3DSにもチラホラと出ている。
やや細かいところを含めればコミックソフトやDVDソフトもある。
だが、メタルギアシリーズは根強いファンも多く、
「全シリーズやったことあるぜ!」
なんて人は良くいるが、意外とスルーされがちな このゲーム──
メタルギアソリッドモバイルについて触れていこうと思う。
モバイルとタイトルについているだけあって、いわゆるガラケーのアプリ。
メタルギア、メタルギア2ソリッドスネークもガラケーに移植されていたが、
当時フル3Dで遊べるメタルギアが登場するという衝撃もあった。
しかもストーリーが、メタルギアソリッド1と
メタルギアソリッド2のタンカー編の間を描くものと
かなり重要な位置づけなのにプレイしたことある人が少ないようなので、
1人のメタルギアファンとして この記事で ある程度触れておきたいと思う。
思いっきりストーリーのネタバレを挟むので注意して欲しい。
ストーリーは、メタルギアソリッド1の後
オセロットがメタルギアREXの情報を闇に流したため、
今や世界各国でREXの亜種が作られるようになってしまっていた。
スネークとオタコンらは反メタルギア財団フィランソロピーを設立し、
メタルギア撲滅に向けての活動の最中、オタコンの元にリード博士と名乗る人物から
「メタルギアの開発に携わっていたが、
この兵器を生み出してしまった自らの罪を悔い、
施設やメタルギアに関する情報を提供するから施設から脱出させて欲しい」
と連絡が来る。だが、調べてもリード博士なる人物が見つからず、
オタコンはどこまで彼女を信用していいものか不安を感じながらも
スネークに施設への単身潜入と科学者の救出を依頼する。
ゲーム的にはメタルギアソリッド2あたりを準拠に
ホフク・壁張り付き・ノック・エルード・首絞め・
主観銃撃・段差上り・ロッカーに隠れるなどのアクションが搭載。
それとは別で本作独自の機能として、携帯電話に付けられたカメラで撮影した
画像の情報をスネークのスニーキングスーツに反映させ、
カモフラージュ率を上下させるというギミックも。
内容はメタルギアソリッド1や2のように特定の場所にカードキーがあり、
それで特定のドアを開けられるようになり、
時には装備を取りに前のエリアへ戻ったりし、
時にはイベントシーンを挟みながら進めていく。
点々と無線が盗聴されているかもしれないから
ここらへんで一度周波数を変えるねミニゲームが挟まる。
左から右へ心電図のようなラインが走るので、
画面上に設置されたマーカーに当たるよう方向ボタンの上下で動かして当てるだけ。
これがまた面白くない上に やたらと入ってくる。
そして先ほど、カメラで撮影した画像情報をスーツに反映させて
カモフラージュ率に影響するとは言ったが、これを使ったドアギミックもある。
簡単に言えばスーツが赤色じゃないと通れない、といった具合だ。
「じゃあカメラが使えない携帯電話だと詰むの?」と思われるかもしれないが、
これを活用してくれとばかりにマップ各所にポスターが貼られているので、
ゲーム内のアイテムとして存在しているカメラで撮ると
即座にスーツへ反映されるようになっている。
ハッキリ言って この色ドアに関する仕掛けは失敗。
中盤から やたらと増えてくるので色を変えまくる必要がある。
そんな状況でカモフラージュ率を考えたスーツに出来るわけがない。
色ドアは一度突破すれば次はスルーOKなら それも出来るが、
OFFに出来ない赤外線トラップのように常に出ているので無理。
道を間違えたら、またポスターを探して色を変え直して・・・という手間が必要。
エリア移動のロード時間がネオジオCDへ片足突っ込んでいるので
道の間違えがそのままダイレクトにストレスへ繋がってくる。
ガラケーアプリなので、操作性が お世辞にも良くないためアラートも気だるい。
処理が遅く、操作性は良くないのに超狭いダクトを
リモコンミサイルで通して配電盤を破壊する仕掛けはあったりする。
音声が無いのは仕方のないことだが、BGMすら全然無いのは味気ない。
となると見るべきところはメタルギアソリッド1と2を繋ぐストーリーだが、
これまた見どころが驚くほどない。リード博士は案の定、罠のようなもので
序盤のうちに明かされるフルネームのヴィクトリア・リード。イニシャルがVR。
ゲームを進めていくと通信画面のオタコンがバグっていく。
一般兵が少し違うマスクを付けてバルカンを持ったようなラスボスもいるが、
このゲームでボスキャラと呼べるのが そいつだけ。
特に名前がシリーズの誰かやキーワードに引っ掛けたものでもなく、
スッと出てきてボスそのものは無言で消える。
終盤になって、リード博士のイニシャルがVRなことから
スネークが居る場所が実はVRトレーニングのような仮想現実空間と判明。
オタコンがプログラムをバグらせて強制終了させて脱出するのだが、
その間スネークは どこに居て仮想現実空間で色々やらされていたのかは謎のまま。
わかることは愛国者たちが「次はジャックに期待しよう。」
と、メタルギアソリッド2の前に雷電が新兵訓練としてやらされた
VRトレーニングのテスターにさせられていたというだけで
本編と繋がりがあるかと言われたら無くもない程度。
小島監督が関わっているようだが、
この話だと安牌感が強すぎて割と どこでも入れられるじゃないか!
結局、メタルギアソリッド1と2を繋ぐ要素は薄く、
ゲーム的にも遊びやすいとはいえず、ロード時間は長い。
ボリュームもロード時間やイベントを除けば
初見プレイでも40分ぐらいで終わってしまうほど。
一応、自分はファンとして しっかりプレイしたが・・・
他のファンにオススメできるほどの内容ではないのでスルーしても大丈夫。
本編に出てくる登場人物も
スネーク・オタコン・リード博士・司令官(敵のラスボス)の
たった4人と、ドラマを繰り広げるには少なすぎる。
だが、これも本編の1つなのは事実なので、
「これをやらずしてメタルギアシリーズ全部やったとは言えないだろ!」
と、マウントを取る優位性があるぐらいだろうか・・・
公式にはシリーズ年表があるが、 年表に記載されていないあたり、 公式での扱いを察して欲しい。 |